す、家内がお年玉をって、今から年玉を上げるのも可笑《おか》しいが、どうせ上げる物だからお歳暮と一緒に預かって置いて下さい」
 清「是は何うも暮の二十八日にお年玉を、是は千万|辱《かたじけ》ない事で」
 蓮「それから正月のうちはね、女子供は皆《みんな》美《よ》い身装《なり》をして来るから、貴方もお筆さんに着せ度《た》くお思いでしょう、また追々《おい/\》春の手間で差引きますが、年頃の娘の事ですから皆の身装を見たら羨《うらやま》しくも思いなさろう、仮令《よし》其様《そん》な気がないにもせよ、お筆さんばかり悪い身装をして来る訳にもいきますまい、是は台なしに成って今は不粋《ぶいき》ですが、荒っぽい小紋が有るんです、好《い》いンじゃアないんですが、お筆さんは人柄だけに小紋の紋付はお似合いだろうと思って、仕立屋へ遣ったんではないので、家《うち》で縫ったんですよ、夫《それ》に帯は紫繻子《むらさきじゅす》が宜かろうと、斯《こ》う云う訳で、赤い物が交《まじ》って気に入らないかも知らないが、朱《しゅ》の紋縮緬《もんちりめん》と腹合せにしてほんのチョク/\着るように、此の前掛は古いのですが、二度ばかりっきゃ
前へ 次へ
全134ページ中28ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング