出来なくても、あゝ能く出来た、お前のはお店《たな》の受けが好《よ》い是は光沢《つや》が別だと云うので手間を先へ貸して呉れるように致して万事に気をつけて呉れるから大仕合《おおじあわ》せで、其の内暮になると何か手伝いをして遣り度《た》いと思って居る処へ清左衞門が礼に参りました。
 清「エヽ御免を蒙《こうむ》ります」
 金「おやお出《いで》なさい斯《こ》うなって近々《ちか/″\》お出でになるに、然《そ》うお前さんの様に窮屈で悪固《わるがた》くっては困る」
 清「何うも私は武骨者で困ります、段々とお世話様に相成り何共《なにとも》お礼の申し上げようが有りません、先達《せんだって》は又出来もせんものに、前以《まえもっ》てお給金を頂戴致し、中々今からお手間などを戴けるわけのものでは有りません」
 蓮「なアにお前さん何日《いつ》でも旦那と噂をして居るの、大層お店《たな》の受けが宜《よ》い事、ちょいとお前さん早くお出しなさいよ」
 金「あれはね其のどうせ来年の三月迄の手間賃で、私が上げる訳じゃアない、店《たな》から来たんだから遠慮をしてはいけない、是はね私の心許《こゝろばか》りのお歳暮でお筆さんに上げま
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