縫ったり致して居ります」
 金「鼻緒も宜《よ》うございましょうが、家内が綿を紡《つ》むことを覚えて近所の娘子《むすめこ》に教えるので、惠比壽屋《えびすや》だの、布袋屋《ほていや》だの、通り四丁目の棒大《ぼうだい》や何かから頼まれましてお店《たな》の仕事ばかり為《し》ますが余程|宜《い》い手間で、立派な男の手間位には成ります、処が此の節おすみと云う娘《こ》が休んでて桶が明いてますから、教えて上げ度《た》いが、甚《はなは》だ失礼で何うしたら宜かろうなんて、家内《これ》が云いますから、なに失礼な訳は無い、覚えてお父《とっ》さんのお手助けに成れば結構だ、鼻緒を縫ってお在《い》でのようだが、夫《それ》も時々休みが有るようだ、夫から見れば是は毎日の仕事だから少しはお父さんのお手助けに成るかも知れんと考えたんで」
 清「夫は御親切に有難い事で、実は娘も好《よ》い内職を皆さんが御当家へ来て成さるが、何うかして私《わたくし》もあゝいう内職を覚え度《た》いと申して居りますが、何分立派なお嬢さん方の入らっしゃる中へ」
 蓮「いえそんな事を心配してはいけません、尤《もっと》も宅《うち》へ参る娘達《むすめたち》
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