られません、斯様《かよう》な結構なお茶、結構なお菓子を、イエ/\是は戴きますまい是は娘に持って行って遣《つか》わしましょう」
金「今お前|様《さん》処《とこ》のお嬢さんのお噂をして居たのだが、実に私は鼻が高い、私の長屋にあゝ云う親孝行の娘が居れば私は何《ど》の位鼻が高いか知れない、お前さんはお仕合せだと云ってお噂ばかりして居ます、お前さんが留守でも隙間《ひま》なく働いて、長屋の評判も好《よ》し、ちょいと宅《うち》へ来ても水を汲みましょうか、買い物はありませんかといって気を附けてお呉れで、御品格と云い、御器量と云い実に申し分が有りませんね」
清「イエ何う致しまして誠に不束者《ふつゝかもの》で、屋敷育ちで頓《とん》と町家《まちや》の住居《すまい》を致した事がないので様子|合《あい》を一向に心得ませんから皆様に不行届勝ちで、夫《それ》に一体無口で」
金「イエ余りペラ/\喋るのは宜《い》けません、年の行《ゆ》かん娘などがお世辞を云うのはいかんもので、今ね其の家内がお噂をして居ましたので、お宅で何か内職でもおさせですかえ」
清「イエ恥入ります、碌《ろく》な事も出来ませんが少々ばかり鼻緒を
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