》な事を頭を禿《はげ》らかして云えるものか」
 蓮「じゃア斯《こ》う仕ましょう宅《うち》へみいちゃんだのおしげさんだのが綿《わた》摘みの稽古に来ますから、あの娘《こ》にも綿を摘む内職を成さいと云って呼寄せ様じゃアありませんか、幸いすうちゃんが休んで桶が明いてるから」
 金「あゝ云う遠慮深い人だから身装《なり》があの通りだからって寄越すめえ」
 蓮「それは此方《こちら》で貸して手間で差引くといって悉皆《そっく》り私の物を貸して遣って習いに来ればもう占めたもので、内職が出来ても出来なくても、あの娘《こ》のは光沢《つや》が好《よ》くって評判が宜《い》い、是丈《これだけ》揚《あが》ったって手習丈の物はなくても宜いから無闇に手間賃を出してお遣んなさいよ」
 金「夫《それ》は大変な散財だな」
 蓮「夫から段々覚えて来たから前貸だと気を附けてお金子《かね》を貸してやって、ホイ/\云って子の様に可愛がって遣ってお父《とっ》さんが留守の内は私の側に置いて娘《こ》のようにして可愛がって、段々|馴染《なじみ》が深く成るうち一年が二年と年月《としつき》がたつ内に、三年経つと竹が年期が明いて来ますから、丁度宜い
前へ 次へ
全134ページ中19ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング