家主《いえぬし》の内儀《かみ》さんは随分|権式《けんしき》ぶったものでございますが至って気さくなお喋りのお内儀さんで、夫婦寄ると子が無いので其の噂ばかりして居ります。
蓮「旦那え/\、もう何《ど》うも何《な》んですね、夫婦の中に子の無い位心細いものは無いと思って居ます、お互に年齢《とし》を取って、来年はお前さんは四十三だよ」
金「年齢《とし》の事を云うと心細くなるから其んな事を云うな」
蓮「だってさ、夫婦養子をしても気心の知れない者に気兼《きがね》をするのも厭《いや》だし、五人組の安兵衞《やすべえ》さんなどは、無い子では泣きを見ないから寧《いっ》そ子の無い方が宜《い》いと云う側から子が出来て、今度ので十二人だてえます」
金「あの人は子福者《こぶくしゃ》だのう」
蓮「其の癖お内儀さんは痩ぎすで子は無さそうだのに」
金「お前《めえ》などはポッチャリ肥満《ふと》ってゝお尻も大きいから子は出来そうだが」
蓮「授かりものですね、子がなければ夫婦養子を仕なければ成りませんが、夫婦養子と云うよりも私の考えじゃア一人娘を貰って置いて、お前|様《さん》には甥《おい》だが竹次郎《たけじろう》
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