取って居ても若く見えます。ずいと出まして、御奉行の方を斜《はす》に向いて坐って居ります。
甲「辨天屋祐三郎抱え紅梅、勇之助代かや、差添《さしそ》うたか」
かや「差添いましてございます」
甲「其の方亭主喜助に毒酒を置いて参った侍は是なる侍で有ろう、篤と面体を見い。近う寄って面体を見い」
ずいと来て、
紅「あらまア何うもまア図々しいじゃア有りまへんか、あんな高い処に昇《あが》って真面目な顔をしてえて上下《かみしも》を着てえてさ、何《なん》だッて此んな悪党に上下なんぞを着せて置くんですよ、牢の中へ入れたんじゃア有りまへんか」
甲「いや前に取押えて入牢申し付けたは清左衞門と申す者じゃ」
是から清左衞門をお呼出しに相成りまして、
甲「兄弟で有るから能く肖《に》て居《い》るが、能く見ろ違うて居るだろう、篤と面体を見定めよ」
という御沙汰で、紅梅は熟々《つく/″\》両方を見較べて清左衞門に向い、
紅「まア何うも済まない、堪忍してお呉んなはいよ、肖《に》てえるったって本当に能く肖て居るんだものを、成程貴方の方が少し老けて居りますが余《あんま》り能く肖て居るからお前《ま》はんだとばか
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