ゆうべ》盗賊が、へえー、何処《どこ》から這入りました、家尻を切ったって、へーえ何うもそれはとんだ事でしたな、お代《だい》に芳造《よしぞう》さんですか、それはまア不図《とんだ》御災難で」
芳「へえ、酷《ひど》い目に遭いました」
藤「少しも知りませんでげした」
芳「土蔵や何かは余程気を注《つ》けますんですが」
藤「へえー」
と話をして居ります処へ件《くだん》の武家《さむらい》が雪駄でチャラリ/\腰掛へ這入って来ました。
藤「おや是は入らっしゃいましそれ見なせえ嘘う吐くものか入らしった、さどうぞ此方《こちら》へ」
武「昨日《さくじつ》は色々お世話に……今日《こんにち》は早くから出ようと思ったが少々余儀ない事で友達に逢って暇乞《いとまご》いなどをして居たんで少々時刻が遅れてお待たせ申して済みません」
武「えゝ此のお方は」
藤「えゝ組合の名主代で」
武「大きに御苦労」
與「えへゝゝ町内の小間物屋の娘をお助け下さり有難う存じます」
武「はい御奉行のお退出《さがり》までは未だ余程|間《あいだ》が有ります」
藤「えゝ殿様一体あの一件は何《ど》う云う事なんで、へゝゝ附かん事を伺
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