し申して居る」
藤「へえ実は私《わたくし》も心配致して居ましたが、殿様が遣ったと仰しゃって下さいますれば何も仔細ない事で」
武「明日は少し早く四ツ時分から腰掛へ出て居て貰い度《た》い」
藤「へえ/\四ツ時分からへえ成程」
武「えゝ此の近辺でなんですかえ、金満家《かねもち》は何処《どこ》ですな」
藤「えゝ金満家と申しますと」
武「いえさ、町内で金満家の聞えの有る家《うち》は」
藤「左様でございますなどうも太刀伊勢屋《たちいせや》などは大層お金持だそうで」
武「他には」
藤「質屋で伊勢銀《いせぎん》と云うが有ります」
武「じゃア伊勢銀の方に仕様」
藤「是からお出でに成りますなら御一緒に参りましょうか」
武「いや一緒に行かんでも宜しい、エ、明日お筆さんをお前が引取に来なければならんから、組合を連れて印形《いんぎょう》持参でお出《いで》を願い度《た》い」
藤「宜しゅうございます、承知致しました」
武「あれは天正金《てんしょうきん》で有るか無いかは明日出れば分ります、大きに御厄介で有った」
藤「まアお茶を」
武「いえ宜しい、左様なら」
すうっと帰って仕舞いました
前へ
次へ
全134ページ中115ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング