お家主一寸自身番まで一緒に行って貰いたい」
 藤「へえ、自身番は直《すぐ》其処《そこ》で」
 武「少し御相談が有るから、じゃアお父《とっ》さん私《わし》は帰る、明日《あした》屹度お筆さんを帰すよ心配しちゃアいかん、心を確《しっ》かり持っておいで、大丈夫だから」
 藤「はい有難う存じます、又《ま》た多分のどうもお恵みで有り難う存じます」
 武「さ、行きましょう」
 藤「へえ、じゃア宜《い》いかえ孫右衞門[#「孫右衞門」は底本では「孫兵衞」と誤記]さん、今|宅《たく》の何をよこすから、旦那と一緒に自身番まで往って来るから、此方《こちら》へ入《いら》っしゃいまし、板ががた付いて居ます、修《なお》そうと存じて居ますが、遂《つい》大金が掛りますので、何卒《どうぞ》此方へ」
 武「はい/\」
 是から路地を出て町内の角の自身番まで参り、
 藤「誠に爺嗅い処で、何うか此方へ」
 武「いやもう構ってお呉れでない心配をせんが宜《よ》ろしい、え明日《あした》私《わし》が奉行所へ出て私が金子《かね》を遣ったに相違ない事を訴えれば、仔細はない、が長屋に事の有る時は支配を致して居《い》る処のお家主の御迷惑はお察
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