ます」
 武「大きに厄介で有った、御家内誠に世話に成りました」
 と丁寧にお武家が家内にも挨拶をして落着き払って、チャラリ/\雪駄《せった》を穿いて行《ゆ》く後影《うしろかげ》を木戸の処を曲るまで見送って、
 喜「有難うございました、どうぞ殿様此の後《のち》も寄ってお呉んなさい、へえへえ有難う、おい嬶《かゝ》ア、大切《たいせつ》に取って置きな、御三家御三卿が喰《くら》うてえんだが、旨くも何共《なんとも》ねえものを飲むんだな、香の物の好《い》いのを出して呉れ、酒家《しゅか》は沢山《たんと》の肴は要らない、香の物の好いのが有ればそれで沢山だ、併《しか》し酷《ひど》い酒を飲《のま》せやアがったなあゝ痛《いて》え、変な酒だな、おいお梅|一寸《ちょっと》来て呉んな、ウ、ウ、腹が痛えから一寸来て呉れ」
 梅「極りを云ってるよ、お前飲み過《すぎ》だよ、※[#「※」は「やまいだれ+仙」、488−13]癪《せんしゃく》に障るんだよ」
 喜「彼《あ》ン畜生変な物を飲ましやアがって、横ッ腹《ぱら》を抉《えぐ》るように、鳩尾骨《みぞおち》を穿《ほじ》るような、ウヽ、あゝ痛え」
 梅「何うしたんだよ」
 喜「ア
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