方《あっち》へ行ってろ、夫《それ》から香物《こう/\》の好いのを出しな」
 武「夫《それ》を直接《じか》に飲んではいけない、何《ど》んな酒家《さけのみ》でも直接にはやれない」
 喜「なに旦那|私《わし》は泡盛でも焼酎でもやります」
 とグイと一口飲みました。
 武「此奴《こいつ》ア気強《きつ》い」
 喜「ムヽ、是は何うも酷《ひど》いな、此奴ア、ムヽ、脳天迄|滲《し》みるような塩梅《あんばい》で」
 武「なか/\えらいな、それを二タ口と飲む者はないよ」
 喜「なに二タ口、訳アございません、薩摩の泡盛だって何《な》んでもない、ムム」
 梅「何う仕たんだよ」
 喜「なに宜《い》いよ、ム、ム大変だ、頭が割れるような酷いもので、此奴《こいつ》を公方様が喰《くら》うかね」
 武「酒を割ってやらんければいかん、残りは大切《だいじ》に取って置きな」
 喜「ヘエお梅是を何処《どっ》かへ入れて置きな」
 武「ポッチリ酒に割って飲むのだ、私《わし》は少し取急ぐで、是を親類共に持って行ってやらんければならん、又此の頃に来る」
 喜「只今抜きが直《じ》きに参りますが…左様ですか…御迷惑で、誠に失礼を致して恐入り
前へ 次へ
全134ページ中11ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング