方《あっち》へ行ってろ、夫《それ》から香物《こう/\》の好いのを出しな」
武「夫《それ》を直接《じか》に飲んではいけない、何《ど》んな酒家《さけのみ》でも直接にはやれない」
喜「なに旦那|私《わし》は泡盛でも焼酎でもやります」
とグイと一口飲みました。
武「此奴《こいつ》ア気強《きつ》い」
喜「ムヽ、是は何うも酷《ひど》いな、此奴ア、ムヽ、脳天迄|滲《し》みるような塩梅《あんばい》で」
武「なか/\えらいな、それを二タ口と飲む者はないよ」
喜「なに二タ口、訳アございません、薩摩の泡盛だって何《な》んでもない、ムム」
梅「何う仕たんだよ」
喜「なに宜《い》いよ、ム、ム大変だ、頭が割れるような酷いもので、此奴《こいつ》を公方様が喰《くら》うかね」
武「酒を割ってやらんければいかん、残りは大切《だいじ》に取って置きな」
喜「ヘエお梅是を何処《どっ》かへ入れて置きな」
武「ポッチリ酒に割って飲むのだ、私《わし》は少し取急ぐで、是を親類共に持って行ってやらんければならん、又此の頃に来る」
喜「只今抜きが直《じ》きに参りますが…左様ですか…御迷惑で、誠に失礼を致して恐入り
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