ヽ痛え、ア痛たゝゝ、お、お梅、脊中を押して呉れ、脊中じゃアねえ、肩の処を横ッ腹を」
梅「何処《どこ》だよ」
喜「其処《そこ》じゃアねえ、此方《こっち》の足の爪先だ、膝だ、あゝ肩だ」
ともがいて居ます、恐ろしいもので、節々《ふし/″\》の痛みが夥《おびたゞ》しく毛穴が弥立《よだ》って、五臓六腑|悩乱《のうらん》致し、ウーンと立上るから女房は驚いて居ると、喜助は苦しみながら台所へ這い出してガーと血の塊を吐いて身を震わして居る。お梅は恟《びっく》りして、
梅「家《うち》の良人《ひと》が何うか為《し》ましたから誰方《どなた》か来て下さいよう、總助さん/\」
總「何うした/\、きまりだ、吐血だ、だから酒を飲んじゃア宜《い》かねえと云うのだ、何う云うものだこれ喜助|確《しっか》りしろ、喜助/\」
喜「ウーン」
それなりに相成りました。
總「何う云う訳だ」
と云うとお梅は涙ながら、これ/\斯《こ》う云う訳で御酒《ごしゅ》を割って飲まなければ宜《い》けないと云うのを家《うち》の良人《ひと》が直接《じか》に飲みましたから身体に障ったのでございましょう。
總「夫《それ》は怪《け》しから
前へ
次へ
全134ページ中13ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング