は如才《じょさい》ねえや、巧《うめ》えや」
武「酌を仕様」
×「いえ殿様、此方《こっち》でします」
武「いや酌をしよう」
△「えへゝゝ是は有難うございます、何《いず》れお浮れでございますな、昨夜《ゆうべ》廓内《なか》へ行って」
武「うむ、廓内へ行って来た」
△「えへゝゝ殿様なんざア男が好《よ》くって美《い》い扮装《なり》だからもてやすが、私《わっち》どもはもてた事はなく振られてばかり居ても行き度《た》えから別段で」
武「何うだ猪口《ちょく》を貰おう」
△「御免なせえまし、水を貰いましょう、おい女中茶漬茶碗へ水をよう、なッてえ、宜いから黙って居ろい」
武「水などで灌《そゝ》いでは水臭い、其んな事をせんでも宜しい」
×「兄い止しなよ」
△「宜いよ黙って居ろえ」
武「是は何うも、酒の嗜《す》きな者は妙なものだ、が今聞いて居たが、何か其の京橋|辺《へん》の数寄屋河岸の柳番屋の陰で金子《きんす》を貰った娘《むすめ》が有るとか云う話だが、それは何う云う訳だ」
と云われた時は両人は驚きわな/\しながら。
△「へえ」
×「だから止しねえと云ったんだ大きな声をしてパッパと云
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