押込んで、腰の抜けた親父一人残して置くてえ家主《いえぬし》の根性が分らねえ、お救米《すくいまい》でも願って遣るが宜いんだ、此間《こないだ》も甚公《じんこう》の野郎が涙を溢《こぼ》し乍《なが》ら、あの娘《こ》は泥坊なぞをする様な者じゃアねえ彼様《あん》な娘はねえって然《そ》う云ってた」
×「おー其んなことを云いなさんなよ、係合になると宜《い》けねえぜ」
と制しても中々聞きません。すると他の一人が、
△「係合いになるって余《あんま》り癪に障らア今度奉行が替ったか、一体奉行が理由《わけ》が分らねえ」
×「おい止せてえのに」
△「云ったって宜い、なッてえ、糞放《くそったれ》め、罪もねえ者を無闇に牢の中へ放り込んで、金を呉れた盗人《ぬすっと》がふん捕《づか》まるまで、牢の中へ入れときやアがって面白くもねえ、本当に癪に障って堪らねえや、些《ち》っと風が吹くと路次は六ツ限《かぎり》に木戸を締《しめ》っちまうんで湯が早く抜けちまっても困らア職人は、彼《あ》の娘《こ》の親父は腰が抜けてるてえから己《おら》ア可哀想でならねえ」
とシク/\泣出しました、
×「泣上戸《なきじょうご》だな、泣きな
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