奴《やつ》ばかり這入《はい》つて来《き》ます。是《これ》は其訳《そのわけ》で無人相《ぶにんさう》だから世辞《せじ》を買《かひ》に来るので婦人「御免《ごめん》なさい。若「へい入《い》らつしやいまし、小僧《こぞう》やお茶《ちや》を、サ何卒《どうぞ》此方《こちら》へお掛《か》け遊ばして、今日《こんにち》は誠に好《よ》いお天気になりました、何卒《どうぞ》之《これ》へ。婦人「はい、御免《ごめん》なさいよ。ズツと頭巾《ずきん》を取ると年《とし》の頃《ころ》は廿五六にもなりませうか、色の浅黒《あさぐろ》い髪の毛の光沢《つや》の好《よ》いちよいと銀杏返《いてふがへ》しに結《ゆ》ひまして、京縮緬《きやうちりめん》の小紋織《こもんおり》の衣類《いるゐ》、上《うへ》には黒縮緬《くろちりめん》の小さい紋《もん》の附《つい》た羽織《はおり》、唐繻子《たうじゆす》の丸帯《まるおび》を締《し》め小さい洋傘《かうもりがさ》を持《もつ》て這入《はいつ》て来《き》ました。器量《きりやう》は好《よ》いけれども何所《どこ》ともなしに愛嬌《あいけう》のない無人相《ぶにんさう》な容貌《かほつき》で若「サ、何卒《どうぞ》此方《こち
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