》は誠に工合《ぐあひ》が宜《よろ》しいが、汁粉屋《しるこや》の店《みせ》からは何《なん》となく出にくいもの、汁粉屋《しるこや》では酔《よ》ふ気遣《きづかひ》はない、少し喰過《くひすぎ》て靠《もた》れて蒼《あを》い顔をしてヒヨロ/\横に出る抔《など》は、余《あま》り好《よ》い格好《かつこう》ではござりませぬ。さて此《この》世辞屋《せじや》は角店《かどみせ》にして横手《よこて》の方《はう》を板塀《いたべい》に致《いた》し、赤松《あかまつ》のヒヨロに紅葉《もみぢ》を植込《うゑこ》み、石燈籠《いしどうろう》の頭《あたま》が少し見えると云《い》ふ拵《こしらへ》にして、其此方《そのこなた》へ暖簾《のれん》を懸《か》け之《これ》を潜《くゞ》つて中《なか》へ這入《はい》ると、格子戸作《かうしどづくり》になつて居《ゐ》ましてズーツと洗出《あらひだし》の敲《たゝき》、山《やま》づらの一|間《けん》余《よ》もあらうといふ沓脱《くつぬぎ》が据《す》ゑてあり、正面《しやうめん》の処《ところ》は銀錆《ぎんさび》の襖《ふすま》にチヨイと永湖先生《えいこせんせい》と光峨先生《くわうがせんせい》の合作《がつさく》の薄墨
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