まし、何《ど》うぞ此方《こちら》へお掛《か》けあそばしまして。客「エヽ私《わつし》は歌舞伎座《かぶきざ》の武田屋《たけだや》の兼《かね》てえもんでがすが、能《よ》く姐《ねえ》さんに叱《しか》られるんで、お前《めえ》のやうに茶屋《ちやや》の消炭《けしずみ》をして居《ゐ》ながら、さう世辞《せじ》が無《な》くツちやア仕《し》やうがねえから、世辞屋《せじや》さんへでも行《い》つて、好《よ》いのがあつたら二つばかり買《かつ》て来《こ》いツて、姐《ねえ》さんが小遣《こづけえ》を呉《く》れやしたから、何卒《どうぞ》私《わつし》に丁度《ちやうど》宜《よ》さそうな世辞《せじ》があつたら売《うつ》てお呉《く》んなせえな。主人「へい、芝居茶屋《しばゐぢやや》の若い衆《しゆ》さんのお世辞《せじ》だよ、うむ、其方《そのはう》が宜《よ》からう、エヽ此手《このて》では如何《いかゞ》でございます。と機械《きかい》へ手を掛《かけ》てギイツと巻《ま》くと中《なか》から世辞《せじ》が飛出《とびだ》しました。発音器「おや何《ど》うも是《これ》は入《い》らつしやいまし、何《ど》うもお早いこと実《じつ》に恐入《おそれいり》ました
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