様が妻恋坂下で三年|後《あと》に御切腹なすったと云うのだから、これが何うも驚きましたね、何うも」
ふみ「はい、それにねあなた、あの時に人様からお預かり申した大金がございます、それと金側の時計が一つ紛失《なくな》りました、金《かね》もございませんから、若し盗賊にでも取られまして、それであゝいう堅い気性でございまして、はッと取りのぼせましたか、又預り金を取られ申し訳が無いと切羽詰りに成りまして、あゝいうことに成りましたか、もう歿《なく》なりますると、中々先の貸金は参りませんで、借財も多くございましたから、人様も、道具を運んでしまって、他家《わき》へ預けて身代限りを出して仕舞え、そうすりア後《あと》で何《ど》の様にも身代が出来ると云ってくれたお人も有りましたが、得心づくで借りた借財、何うしてあなた、そんな事が出来ましょう伽蘭堂《がらんどう》にしてお渡し申して、残らず店の品物まで売り尽しましてお返し申したから、手許《てもと》へは僅か百二三十円有りましたが、それから私は眼が悪くなり、病院に這入ったり何や彼やで遣い果し、浜でも富貴楼の御夫婦が御親切になすって下さったが、東京《こっち》に親戚《みより
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