寒うございましたろう、何処から、駒込から、いやそれは大変でした、さゝ此方へお出でなすって火鉢の側へ、婆さん炭取《すみとり》を持って来て、其方《そっち》にも火鉢を出しな大勢だから一つの火鉢にかたまる訳にいかねえ、それからお茶を入れて菓子を出しねえ、何い、そう幾つも手が有りませんと、強情ッ張《ぱり》の婆《ばゝあ》だ……さ此方へ………お変りもございませんで……御難渋の事で、予《かね》て承わって居りますが」
ふみ「申し三八さん、私も此様《こん》なにおちぶれましてございます」
三「へい誠に御無沙汰致しました、横浜にお出でなさる事は聞きましたが、何うも浜だから一寸お尋ね申す事も出来ず、お目の悪い事も存じませんでしたが、何《いず》れ又病院にでもお入りなすってお療治でも致せば」
ふみ「はい有難うございますが、病院へ入りまして、入院中も種々《いろ/\》お医者様も御丹誠なすって下すったが、何うも治りません眼と見えまして、もう何も彼《か》も売尽《うりつく》しまして此様なにおちぶれ果てました、私《わたくし》はもう前世《まえのよ》の約束だと思って居りますが、親の因果が子に酬《むく》うとやら、何にも知りません子供
前へ 次へ
全113ページ中89ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング