つ》に成る子を負《おぶ》いまして、七歳《なゝつ》に成るお豐《とよ》という子に手を引かれて居ります。駒込片町《こまごめかたまち》の安泊《やすどまり》に居りまして、切通《きりどお》しの坂を下りてよう/\此処まで来る中《うち》に二度転んだと云う俄盲《にわかめくら》でございます。柳川紬《やながわつむぎ》の袷《あわせ》一枚、これも何うも柳川紬と云うと体裁が宜《よ》いが、洗張《あらいは》りをしたり縫直《ぬいなお》したりした黒繻子《くろじゅす》の半襟が掛けてあるが、化物屋敷の簾《みす》のようにずた/\になって、王子の製紙場《せいしば》へ遣っても宜しいという結びだらけの細帯、焼穴《やけあな》だらけのあめとう[#「あめとう」に傍点][#「あめとう」に欄外に校注、「アメリカ唐桟の略」]の前掛が汚れ切って居ります、豆腐屋の物置から引出したと云うような横倒しに歯の減った下駄を穿《は》いて、ぶる/\慄《ふる》えながら、
豐「お母《っか》ちゃん、ちゃア此処《こゝ》だよ/\」
ふみ「はい………御免なさいまし」
女「はい………おや/\いけない………其処《そこ》を明けちゃアいけない、北向だから、此処の家《うち》は風が這
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