か、着換えよう」
美「さアお着換えなさい、何うも是からまアほんとに泥が附いて、ま何うしたんだろう、あら血が附いてますよ」
庄「なゝゝなんだ、あアあのなんだ、こゝ駒込の富士|前《めえ》の方から帰って来たら、青物市場の処《とこ》を通ると、犬が五六匹来やがって足へ絡《から》まって投げられた、其の時|噛合《かみあ》った血だらけの犬が来やがって、己に摺附けたもんだから」
美「あらまア穢《きたな》いじゃアないか、些《ちっ》と乾《ほ》しましょう」
庄「あゝ其方《そっち》の二畳の部屋の方へ出して置いてくれ、穢らしいから……おい一杯《いっぺえ》酒を飲もう」
と是から酒を飲んでぐうッと寝てしまった。翌日《あした》になって車夫《くるまや》が持って来た煙草入に煙管の事を聞いても、知らんと云い、彼《あ》れやそうじゃない、煙管も知らん、と云ってお美代にも隠し置いたから、誰《たれ》あって知る者は有りませんが、それから翌年に相成りますると、一|月《げつ》あたりは未だ寒気も強く、ちょうど雪がどっどと降り出して来ました。幇間《たいこもち》三八の腰障子の閉《た》って有る台所に立ちましたのは、奧州屋の女房おふみ、三歳《みッ
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