お金を何うとかと云って往ったよ」
婢「大層遅いじゃ有りませんか」
美「なアに今に帰るだろう、旦那が帰ったら一口召上るかも知れないからね、少しお肴を支度して置いておくれ」
いくら待っても帰りませんので案じていると、ちーん/\という二時の時計。
庄「大きに御苦労/\、若衆《わけいし》(車代を払う)………帰ったよ」
婢「はい旦那様がお帰りですよ」
美「あれさ起きなくっても宜《い》いわ、寝ておいでよ……只今明けますから…………おや車で、若衆《わかいしゅ》さん大きに御苦労」
車「へい」
美「お茶でも飲んでお出でなさいな、そう大きに御苦労様………あなた余《あん》まり遅いからお泊りに成ったのだろうから、私も今寝ようと思った処、あゝ宜《よ》い塩梅に一時《ひときり》降ってから小降りに成りましたねえ、それにね蝙蝠傘は漏りはしませんか」
庄「なに車に乗ったから傘は要らなかった。」
美「そう、甚《ひど》いのに何処まで往っておいでなすったの」
庄「王子の茶園に往って送り込《こみ》を頼んで来た、二三|日《ち》中《うち》に送り込むだろうが、来なければ又往って遣ろうが」
美「着物が大変泥だらけですね」
庄「えゝ着物
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