から、夜明《よあか》しに這入って酒え飲んで、転がっちゃった、処がその客は私ア縁が切れては居るが、かたづいている妹《いもと》の亭主《ていし》だ、それとは知らねえでおまはんから何うも………後《あと》は妹一人で仕様が無《ね》え、今では横浜《はま》へ往って居りやすが、何うも身上《しんしょう》を大きくするくらいの奴は無理な算段でもって店を明けるような事が有ろうが、何うもへゝゝゝゝ、借財がまア多く有ったもんだから店を明けている訳にも往かねえで、今では子供を連れて横浜《よこはま》へ往ってますが旦那、冗談じゃア無え、あの時私ア拾った煙草入だから五十円じゃア安いもんでしょう」
庄「ふむ、おまえは彼時《あんとき》に挽いてた若衆《わかいしゅ》か」
徳「へゝあの時に私《わっち》ア……、彼奴《あいつ》を殺しておまはん金え奪《と》ったんでげしょう、その金で彼《あ》の別嬪を身請をして、惚れた同志が夫婦になって葉茶屋を出してるなんてえ、へゝゝゝ羨しい話じゃア有りやせんか、此方《こっちゃ》ア未だぶらちゃらして居るんですから直《すぐ》にまア野暮な事を云わねえでさ、面倒だア買っといておくんなせい、五十円で是をおまはんが買っ
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