がすっかりお似合いなさいますな……御新造様の御紋はお珍らしい、こりゃア何だろう、へえ宜《よ》い御紋ですな、是は三蓋松《さんがいまつ》てえので、余《あんま》り付けません、俳優《やくしゃ》の尾張屋《おわりや》の紋でげすなア」
美代「フヽヽ(笑)野暮な紋だから屋敷や何かでなけりゃア附けない紋で」
車夫「旦那さんの御紋は………花菱だけれども、実《み》の花菱で是も余《あんま》り人が付けねえ御紋で………えゝえ妙な事があるもんだ、斯う紋がぴったり揃ってるのは不思議だなア………えゝ旦那え、これは(煙草入を懐より出し)実は洋服持の煙草入でげすが、黒桟《くろざん》で一寸《ちょいと》袂持《たもともち》の間に此の鉈豆《なたまめ》の煙管《きせる》が這入って、泥だらけになって居るのを拾ったんで、掃除をして私が大切に持って居りますが、実は私《わたくし》どもの持つ物ではございませんから、質屋の番頭だって蔑《けな》しやがッて、私《わたし》どもに有っちゃア仕方がねえ、煙管が何うも実に旦那不思議なんで、私にゃア分らねえが、銀だって云いやすが、この紋がねえ、三蓋松に実の花菱が、そっくり象嵌《ぞうがん》で出て居るってんだ、こい
前へ
次へ
全113ページ中74ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング