して居りました、大層お似合いなすったこと、この丸髷は矢張《やっぱり》彼方《あちら》の方にも芸者|衆《しゅ》や何かが居ますから、髪結《かみい》さんも上手だと見えて大層|宜《い》い恰好《かっこう》に出来ました事、いゝ事ね、何て………まだ島田が惜しいようですね、はゝゝ却《かえ》って凛々《りゝ》しくてね、丸髷の方が宜しゅうございますよ、私《わたし》はいえ最う(盃を受け)有難う、たんとは頂けません……これから私が参って茶椀蒸を拵えますから」
庄「誠に御馳走様で」
これから頻《しき》りにお酒を飲んで車夫《くるまや》の方にも酒が一本附きましたる事にて、車夫も好《い》い機嫌になって、
車夫「へい旦那様有難う」
庄「あゝお前《めえ》も草鞋《わらじ》で此処へかけるがいゝ、其方《そっち》へ踏込まんように」
車夫「えゝ御新造様有難う、何うも閑で仕様のねえ処《とこ》へ言値《いいね》で乗っておくんなすって、おまけにお酒やなんかア、まアおいしい物で御飯《ごぜん》を頂くなんてえ、こんな間の好い事はねえ、ゲーッ………有難うございます………御新造様アお何歳《いくつ》でごぜいすか、お綺麗でおいでなさるなア何うも……御紋付
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