いくらも苛《ひど》いめに遭《あ》うものが多いのに、自分の思う所に請出《うけだ》されて行って御新造《ごしんぞ》に成ると云う、そんな結構な事は何うも誠にねえ、おや是《こり》ゃア御免なさいましよ、始めておほゝゝゝ私《わたし》アまア浮《うっ》かりとして、只お懐かしいので美代ちゃんの事ばかり………藤川様とか……誠にね、予《かね》てお噂には伺って居りましたが……そうでございましたか、遂《つい》ね、心安立《こゝろやすだて》にもうね、まア美代ちゃん/\と言慣《いいつ》けて居るもんですから御新造様の事をホヽヽ、私《わたくし》はがら/\して居りまして、そうでございましたか………何うもお二人様ともお雛様を一対|列《なら》べたようで………御緩《ごゆっ》くりなすって、今旦那が帰って来ますと自分で手料理が出来ますが、生憎《あいにく》居ないから、まア緩くり遊んで居て下さいな、生憎降って来ましたが大した降りも有りますまいけれども、まア、それに此の間ね新藏《しんぞう》さんがお出でなすったが、その折あなたがお店に坐って居たって、元が元だから商人《あきんど》の店にでも官員でも何処へ出しても本当に上品のお内儀さんだってお噂致
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