》のお母さんのお墓参りをして、帰りに上野の彰義隊《しょうぎたい》のお墓参りをして、それから奧州屋さんのお墓参りに、遊びながら彼方《あっち》の方へぶら/\と一緒に往《い》きな、菊時分だから人が出るよ」
美「まだ大変菊には早いじゃアないか」
庄「今日は紋付だよ」
美「いやだよウ一寸何だねえ」
庄「そうでないて事よ、往《い》きなよ、お前《めえ》もお母様《っかさん》のお墓参りに往くのなら、紋付の着物であらたまって、香花を手向るのが当前《あたりまえ》じゃねえか」
 と無理に紋付にさせるのも庄三郎心有っての事です。此方《こちら》のお美代はそんな事は知りませんが、亭主の云う事|故《ゆえ》仕方なく紋付を着て。此の節は滅多に着ることが有りません、久しぶりで紋付を着て上等帯を締め、大きな丸髷になでつけまして、華美《はで》な若粧《わかづくり》、何うしても葉茶屋のお内儀《かみ》さんにいたしては少し華美な拵《こしら》え、それに垢抜けて居るから一寸表へ出ても目立ちます。これよりぶら/\遊歩を致して母の墓参りをして、上野を抜けて広小路《ひろこうじ》へ参り、万円山《まんえんざん》広徳寺に来て奧州屋新助のお墓へ香花を手
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