くてはいけないから、五両でも三両でも……係り合《あい》の事が有って車を置いて来た」
ふみ「何だよ私の家は取込んでいるよ困るね、是でも持って往っておくれ」
と有合わした小遣を遣り、子供を抱いたり負《おぶ》ったり致して、番頭立合で往って見ると、なさけなき死様《しによう》だ、常に落著《おちつ》きまして中々切腹する様な人では無いが、何う云う訳か頓と分らない。拠《よんどころ》なく此の事を訴えますと、検屍|事済《ことずみ》になって死骸を引取りまして、下谷《したや》の広徳寺《こうとくじ》に野辺送りをする事に成りましたが、誰が殺したか頓と知れませんで居りましたが、是が自然に知れて来ると云うは、悪い事は出来んものです。一寸《ちょっと》一息致しまして。
五
えゝお話二つに分れまして、数寄屋町の有松屋のお話でございます。芸者屋の商売などと云うものは、外見《おもて》はずうッと派手に飾って、交際《つきあい》も十分に致し、何処に会が有っても芝居の見物でも、斯ういう店開きが有れば其の様にびらを貼るという様な事でございまして、中々物入の続く商売。殊に暮などは抱子《かゝえッこ》を致して居れば、新
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