ふみ「貴方は外国人は汚《けが》らわしい、日本は日の本《もと》だ、神の国だ、外国の人などを入れるなという日光様の教えもあるものを、背いてこんな事をしたからと、自分の惰者《なまけもの》を余所《よそ》にして、毎《いつ》もあんな事ばかり云いながら、その汚れた外国人のところに一人の妹《いもと》をらしゃめん[#「らしゃめん」に傍点]にするとって、私を横浜に置去りにして、五十両の手金を持ってお逃げなすった事をお忘れなすったかよ」
徳「いさゝか覚えて居りますな………重々相済まん、何うも仕方が無《ね》い、借財で仕方が無《ね》えよ、借財でなア」
ふみ「私はお前に置去りにされて、知らない横浜の富田屋《とんだや》さんの家《うち》に泣暮して居ましたよ、処へ富貴楼《ふっきろう》のお内儀さんが一寸《ちょっと》富田屋さんへ用が有ってお出でなすって、何ういう訳だと申しますから、是々だって話をすると、あゝいう気性のおくらさんだから、それはお気の毒だと今の旦那に話をして、私の身体を五十円で買われたようなもの、此所《こゝ》に来て居るといって、縁切りで来たのだよ、お前さん其の他にも家の旦那はあゝいう気性だから、お前さんに別に
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