ざいますから、兄妹《きょうだい》でもお前さんに私がお金を送る訳は有りませんが、今までに二十四|度《たび》お貸し申したよ」
徳「心得て居ります、再度拝借致しました、併《しか》し現在の兄が倒れんとするを救わんというのは何うも道に違って居る、そりゃア縁は切れて居ろうが、血筋は切れん、その何うも兄弟の間柄でもって、他に兄弟の有る訳じゃア無《ね》え……重々悪い此の通り(平伏)此の通り恐れ入って居る」
ふみ「何うぞ、お前さんも峯壽院《ほうじゅいん》様の御用達《ごようたし》では無いか………お前さんは立派な天下の御家人では無いか、お父《とっ》さんが亡くなると蔵宿《くらやど》は借《かり》つくし、拝領物まで残らず売ってしまって、お母《っか》さんもそれを御心配なすって、あの通りお逝去《かくれ》になりました、私より他に兄妹《きょうだい》は無いと仰しゃいましたけれど、大切《だいじ》な兄妹と思って下さるかは知らないが、其の同胞《きょうだい》をお前さんは騙《だま》して横浜に連れてって外国人のらしゃめん[#「らしゃめん」に傍点]に仕ようとした事をお忘れなすったか、私が二十一の時だよ」
徳「まことに何うも重々相済まん」
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