洗うから」
福「困りますナ何うも、今何うも店の処じゃア困りますからよ、暫くお待ちなすって」
徳「待たなくてよ、逢いに来たんでい」
というに仕方が無いから、番頭は奥に往《ゆ》きますると、乳児《ちのみご》に乳を含ませて、片手で其処此処片付けて居りました。
福「申しお内儀さんえ」
ふみ「はい」
福「あなたのお兄《あに》いさんで徳藏様が」
ふみ「あゝ又来たかい」
福「へいぼろ/\したお装《なり》で………あなたの前で申上げては済みませんが、実にひどいお服装《みなり》、御酒《ごしゅ》の上の悪いてえことを聞いて居りますが、私《わたくし》は存じませんから、何だかと思って、銭貰いならアノ店を明けたばかりだから、其処へ立っちゃアいけないと云ったら、あべこべに剣突《けんつく》を食《く》って、兄上が妹《いもと》に逢うのだと申しますが、御様子が悪いから……」
富「あの店に置いちゃア困るから、台所で逢うから此方《こっち》へ呼んでおくれ」
福「へい……貴方さまお内儀さんがお目にかゝりますが、足を洗うのも始末が悪うございますから、裏からお這入りなすって……直《すぐ》に其の蝋燭屋の裏をお這入りなさると井戸の前の処が入
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