下さり、大金を出して引かして下さるので、貴方のような何《なん》じゃ有りませんが、随分中には風《ふう》の悪いお客が、玉《ぎょく》の五つ六つも附けて祝儀の少しも出すとね、上手《うわて》へでも連出して色男振って、ほんとにあなた然うじゃア有りませんか、私も心配した事も有りますよ、明後日からおいでなすった[#「なすった」は底本では「なすた」]処が婆アばかりで面白くも何とも有りませんよ」
と云い放たれ、庄三郎顔の色を変え、
庄「むゝ左様《そう》か…」
と云ったぎり、ぐいと癇癖《かんぺき》に障りました、これが奧州屋新助の大難と相成ります。
三
藤川庄三郎は、あれ程深く云い交して置きながら、身請をされるというに今まで一言の言葉もなく、手紙一本送らんで、無沙汰に身請をされるというは不実な女だと思いますと、そこは旗下の若様だけ腹に据兼《すえか》ね、ぐいと込上げて来ると額《ひたえ》に青筋が二本|許《ばか》り出まして、唇がぶる/\震え出し、顔の色を少し変え、息遣いも荒く、
庄「お母《っか》ア、何も然《そ》んなに云わないでも宜《い》い、余《あん》まり久しく無沙汰になったから訪ねたのだが
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