《こちら》へお上りなさい、お客でも何でも有りませんよ、親類のもので………おい師匠お前ちょいと彼《あ》のお方を此方《こっち》へ」
三「へえ……先《まず》此方《こちら》へお上りなさいまし、一切親類付合で、今ちょいとお酒が始まった処で、これから美代ちゃんのお兄《あにい》さまになるお方で、へゝゝ何うぞ此方へ入らっしゃいまし…………へえ何うも是は玉柄《たまがら》で、このくらいなステッキは有りませんな、何うも一切違いやすね…………さア此方へ/\」
庄「はい何方も暫く………えーお母《っか》ア誠に御無沙汰をしましたが、少し訳が有って深川の方に引込《ひっこ》んでいたので、存じながら御無沙汰になりましたが、今ちょいと御近辺まで参ったから、お訪ね申しましたが、生憎《あいにく》な処へ来てお邪魔をしました」
婆「えゝお茶を上げな……あなたにも此の娘《こ》が度々《たび/\》御贔屓で呼んでおくれなすった事も有りますが、明後日《あさって》から美代吉は宅《うち》にいませんよ、こゝに入らっしゃいます美土代町の洋物屋《とうぶつや》の旦那様が身請をして下さいますので、こんな子供の様なものでございますけれ共、可愛がって身請して
前へ
次へ
全113ページ中30ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング