》の処に蟄息して居たが、遠州《えんしゅう》の親族の者が立帰って来て、何か商法を始めようと思うのだ、それに就いて蠣売町《かきがらちょう》に宜《よ》い家《うち》が有るから、その家を宿賃で借《かり》る積《つもり》で、品は送ってくれると云うから、その家で葉茶屋《はぢゃや》を始める事になったので、実は母親《おふくろ》に打明《ぶちあ》けました、云い難《にく》かったが思い切って、実は斯々《これ/\》の芸妓が有りますが、あれは腹から芸人じゃア無い事は会津藩の斯々という者の娘でと、すっかりお前の身の上を明した処が、そういう身柄の者なら宜しい、何うせ一人嫁を貰わなければならんから、早く儲けて金が出来たら、お前を貰うように約束して置くが宜《い》いとまでの話になったから、お前に悦ばせようと思って来たのさ」
美「それはまア嬉しい事……種々《いろ/\》お話も有りますから、ちょいとお上んなさいよ」
庄「お客かえ」
美「なに私《わちき》のお父さんと心安い人なんで、四五|度《たび》私を呼んでくれた人ですが、宅《うち》のお母さんと近付に成りたいって来てえるんですよ」
奥から声を掛けまして、
新「何方《どなた》ですか此方
前へ
次へ
全113ページ中29ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング