無いと云ってゝも、末になると黄色くなってぱら/\落ちますから捨てゝ、今度は秋草が宜《よ》いと云った所が、此れもそう何時迄《いつまで》も保ちは致しません、直《すぐ》に萎《しお》れてしまいますから※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28] 換《さしかえ》るというように、世の中の事は此の通りでございます。マア何でも苦労をなさらんければいかんということで。これは松平肥後《まつだいらひご》様の御家来で、若い中《うち》にさん/″\道楽を致し、青森県の方にお出でがありまして、ちょうど函館の戦争に出逢って危《あやう》い処を免《のが》れ、よう/\の事で世界が鎮まってから横浜へ出てまいり、外国人と取引を致し、図らざる処の幸福を得ました処から、まだ東京は開けません時分故、洋物店《ようぶつてん》を神田美土代町《かんだみとしろちょう》へ開きましたが、大層繁昌致しました。此のお方は苦労人の果ゆえ、仮令《たとい》芸人を扱っても、芸者を相手にしても、向うの気に入るような事ばかり云います。今日《こんにち》は身装《なり》の拵《こしら》えがくすんでも居ず華美《はで》でも無い様子、ちょっと適当の
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