から、これは堪らぬ、ちとそろ/\表を歩いたら楽に成るだろうというと、これが苦しみの初まりで、最《も》う寝足《ねあし》になって居りますから歩くと股《もゝ》がすくんでまいり、歩行が叶《かな》いませんから、そこらの車へ乗って家《うち》へ行ったら楽だろうと思って、車へ乗ると腰が痛くなって堪らないから、仰向《あおむけ》に寝たらば楽になるかと思うと、疝気《せんき》が痛くなったりしていけませんから、廊下へ出て躍《おど》ったら宜《よ》かろうというように、実に人は苦の初めを楽しむと云って、苦労の初めばかり楽しみますことを考えますものでございます。「瓶《かめ》に※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28] 《さ》す花見ても知れおしなべてめづるは捨《すつ》る初めなりけり」という歌の心は、詠《なが》めは誠にどうも総々《ふさ/\》とした此の牡丹は何うだい、宜《い》いねえ水を上げたところは、と珍らしがって居りますが、長く活《い》けて置けばばら/\と落ちて来ますから、あゝ穢《きた》ない打棄《うっちゃ》ってしまえと、今度は大山蓮華《おおやまれんげ》の白いのを活けこの花の工合《ぐあい》はまた
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