牌でも立てさせたいと思い、また私《わし》は別に兄弟も何もないから、此の娘を請出して私《わたし》の妹分《いもとぶん》に為《し》たいというは、此の娘の様な真実者なら、私《わし》の死水《しにみず》も取ってくれようとこういう考えなんだが、親類交際で身請を為てしまったからッて、何も是《これ》ッ切《きり》お前の処へ来ないという訳でも無く盆暮には屹度《きっと》顔を出させるようにします、差支《さしつかえ》は有りますまいが、また斯《こ》ういう雛妓《こども》を抱え度《た》いとか、あゝいう出物《でもの》の著物《きもの》が有るから買いたいと云う様な時にも、お前さんの事だから差支も有るまいが、然《そ》ういう時には金円《きんえん》…また私《わたし》が御相談をしても善いのだがねえ」
三「旦那が只何うも美代ちゃんが可愛くって、娘か妹のように思われて、丸めて喰ッちまい度《た》い位なんで」
婆「誠に何うもそれは有難い事でございます、実に彼《あれ》の身の出世でございます、彼も何時までも芸妓をして居ては詰りませんから、能《よ》い加減な時分に何うか身を固めさせなければならないと申して居たのでございますが、昔は芸妓を受出すにも造
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