何うも由良之助見ていな事をおっしゃったが、その帰りに與市兵衞《よいちべえ》見ていに殺されるていのは何うも分んねえ」
美「殺されたのならば私も何うも残念で耐《たま》りませんよ」
ふみ「私も何うも人手に掛ったと存じますが、もし殺した奴でも分ったら、眼が見えなくとも武士の家《いえ》に生れた女、亭主の仇《あだ》を尋ね探して討ちたい心も有りましたが……あゝ斯様に盲人《めくら》に成りましては」
美「おゝ不思議な御縁でお目に懸りました、私の兄の女房なら私の為にはやっぱり姉《ねえ》さん、兄《あに》さんの敵だって討てない事は有りません、ねえ庄さん、お願《ねがい》ですから若しも敵が知れましたら、藤川さん貴方も以前はお旗下《はたもと》ではありませんか、たとえ女の細腕でも武士の家に生れた私です、一生懸命になりますから、助太刀して、屹度《きっと》知れたら、敵を捜して討たして下さい」
 というのを聞いて居りましたおとよが七歳《なゝつ》では有りますが、怜悧《りこう》な子でありますから、
豐「お母《っか》ちゃん、お父《とっ》ちゃんを殺した奴が有れば、豐ちゃんも敵を討ちます、この叔父ちゃんに手伝って頂いて、ね叔父ちゃん
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