が逆《さか》らつたものだから、詰《つま》らん事を申《まう》して気の毒に心得《こゝろえ》、出牢《しゆつらう》をさした、其方《そのはう》が入牢中《じゆらうちう》に一|詩《し》作つたから見て呉《く》れ。シ「はゝツ。シロクシナス番兵《ばんぺい》を見返《みかへ》りまして、王《わう》の詩を手に取り上げ、シ「御急作《ごきふさく》でございますか。王「左様《さやう》ぢや。シ「へーツ。と見て居《ゐ》る内《うち》に、渋《しぶ》い苦《にが》いやうな顔をして、シ「番兵殿《ばんぺいどの》、手前《てまへ》をもう一|度《ど》牢《らう》へお連《つ》れ戻《もど》しを願ひます。―余程《よほど》不作《ふさく》と見えまする。夫《それ》に似《に》たお話がございます。
是《これ》は日本《にほん》の事で、或旅僧《あるたびそう》が峠《たうげ》を越《こ》えて来《き》ますと、寒風《かんぷう》が烈《はげ》しくフーフーツ吹捲《ふくまく》りますので堪《たま》り兼《か》ねて杉酒屋《すぎさかや》といつて、軒《のき》の下《した》に杉を丸く作つて、出してありまする居酒屋《ゐざかや》へ飛込《とびこ》んで、僧「御亭主《ごていしゆ》や。亭「はい、お掛《か》
前へ
次へ
全8ページ中5ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング