けなさいまし。僧「余《あま》り寒いから一|杯《ぱい》附《つ》けてお呉《く》れ。亭「エ畏《かし》こまりました、此方《こつち》へお掛《か》けなさいまし。僧「一寸《ちよつと》小便《こよう》に行《ゆ》きたいが、何処《どこ》か用《よう》を足《た》す処《ところ》はあるまいか。亭「裏《うら》の畑《はたけ》に担桶《たご》が並《なら》んで居《ゐ》ますから、夫《それ》へなさいまし。僧「さうかい、……おゝ寒い。裏《うら》の田圃《たんぼ》へ出て見ると奥《おく》の方《はう》の物置きの中に素裸体《すつぱだか》で年《とし》の頃《ころ》三十二三になる男《をとこ》が棒縛《ぼうしば》りになつて居《ゐ》るのを見て、和尚《をしやう》は驚《おど》ろき、中《なか》へ飛込《とびこ》んで来《き》て、僧「御亭主《ごていしゆ》/\。亭「ヘエ/\。僧「アノ何《なに》か素裸体《すつぱだか》で物置きの中に棒縛《ぼうしば》りになつて居《ゐ》るものがあるが、あれは何《なん》だね。亭「あれは何《なん》で、旅人《たびびと》でございます。僧「何《なに》を悪い事をしたのだえ。亭「エヽ悪い事をしたのではございませんがね、私《わたし》の家《うち》へ来《き》て
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