て詩にも何《なん》にもなつて居《を》りません。シロクシナスは正直《しやうぢき》の人だから、シ「へえ、お言葉ではございますが、拙《まづ》い巧《うま》いと申《まう》すは二の段《だん》にいたしまして、是《これ》は第一に詩といふものになつて居《を》りません、御承知《ごしようち》の通《とほ》り、詩と申《まう》しまするものは、必らず韻《ゐん》をふまなければならず、又《また》平仄《ひやうそく》が合《あ》ひませんければなりません、どうも斯様《かやう》なものを詩だといつてお持ち遊《あそ》ばすと、上《かみ》の御恥辱《ごちじよく》に相成《あひな》ります事ゆゑに、是《これ》はお留《とゞ》まり遊《あそ》ばした方《はう》が宜《よろ》しうございませう。と申上《まうしあ》げると、国王《こくわう》真赤《まつか》になつて怒《いか》り、王「是《これ》は怪《け》しからん、無礼至極《ぶれいしごく》の奴《やつ》だ、何《なん》と心得《こゝろえ》て居《を》る、是《これ》ほどの名作《めいさく》の詩を、詩になつて居《を》らんとは案外《あんぐわい》の何《ど》うも失敬《しつけい》な事を申《まう》す奴《やつ》だ、其分《そのぶん》には捨置《すて
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