天下《てんか》広《ひろ》しと雖《いへ》ども、乃公《おれ》ほどの名人《めいじん》はあるまい、と思つてお在《いで》になりました。処《ところ》が或時《あるとき》の事でシヽリーの内《うち》で、第《だい》一|番《ばん》の学者《がくしや》といふ、シロクシナスといふお精霊様《しやうりやうさま》の茄子《なす》のやうな人が参《まゐ》りまして、王《わう》にお目通《めどほ》りを願ひますると、早速《さつそく》王《わう》は御自分《ごじぶん》の作つた詩を見せたいと思召《おぼしめ》したから、王「これ、シロクシナス、是《これ》はな、予《よ》の近作《きんさく》で、一|詩《し》作つたから見て呉《く》れろ。シ「はゝツ。国王《こくわう》の作つた詩といふから、結構《けつこう》な物だらうと存《ぞん》じて、手に取り上げますると、王「どうぢやな、自製《じせい》であるが、巧《うま》いか拙《まづ》いか、遠慮《ゑんりよ》なしに申《まう》せ。シ「はゝツ。とよくよく目を注《つ》けて見ると、詩などは円朝《わたくし》は解《わか》りませんが、韻《ゐん》をふむとか、平仄《ひやうそく》が合《あ》ふとかいひますが、全《まる》で違《ちが》つて居《を》りまし
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