キ、丁度|私《わたくし》が当家へまいって二日目でございますが、亥太郎さんのお父《とっ》さんが歿《なくな》りました、其の時に亥太郎さんが葬式金《とむらいきん》にお困りなすって、これを抵当《かた》に金を貸してくれと申してまいりました、旦那は彼《あ》アいう気象ですから、金は貸すが品物は預からぬと云って、暫く押問答して居りますと、亥太郎さんが何《なん》と云っても肯《き》きませんので、そんなら私《わし》も少し考える事があるから、兎も角も預かって置くと申しまして、その儘預かりました、ところが彼《あ》アいう訳で良人《やど》が島流しになりましたから、何《ど》ういう仔細があって預かったかは知りませぬが、何時《いつ》までも人の物を預かって置くのも不実と思いまして、今日にもお出《い》でがあったらお返し申そうかと思って居《お》るのでございますよ」
 友之助は不審の眉《まゆ》を顰《ひそ》めまして、
 友「はてな、亥太郎さんが此品《これ》を持っていると云うのは不思議でございますな、この煙草入《たばこいれ》は皮は高麗《こうらい》の青皮《せいひ》、趙雲《ちょううん》の円金物《まるがなもの》、後藤宗乘《ごとうそうじょう
前へ 次へ
全222ページ中97ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング