イ守に向いまして、
右「いかに御奉行、唐土《もろこし》から種々《いろ/\》の薬種《やくしゅ》が渡来いたして居《お》るが、その薬種を医者が病気の模様に依《よ》って或《あるい》は緩《ゆる》め、或は煮詰めて呑ませるというのも、畢竟《ひっきょう》多くの病人を助ける為で、結句《けっく》御国《みくに》の為じゃの」
土「御意にござります」
右「日本の島々に居《お》る者でも随分用いように依ると、国の為になる者もあろうの」
土佐守は御老中が突然《だしぬけ》の問《とい》に、はて奇妙なお尋ねも有るものかなと暫く考えて居りましたが、もとより奉行でも勤めるくらいのお方でありますから、それと心付きまして、
土「御尤《ごもっと》もにござります、思召《おぼしめ》し通り取計らいましょう」
とお受を致しました。別段申上げませずとも、文治を赦免いたせと云う思召であると云うことは皆様もお察しでございましょう。奉行は役宅へ帰りまして、「三宅島罪人|小頭《こがしら》浪人浪島文治郎儀、流罪人扱い方宜しく且《かつ》又当人島則を厳重に相守り候段、神妙の至りに付、思召を以て流罪赦免致すもの也」という赦免状を認《したゝ》めまし
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