ノ越度《おちど》あらば寺社奉行の裁判を受けるでござろう、とは申すものゝ罪人《ざいにん》を作るも本意《ほんい》でない、何も言わずに此の儘お帰りなさるか」
 とすっかり図星を指されて何《なん》と言い紛らす術《すべ》もなく、
 蟠「ウウッ、ウーム、これは全く、へえ/\何も言わずに此の儘……」
 數「然《しか》らば免《ゆる》し遣《つか》わす、併《しか》し大伴氏、今日《きょう》限り当家へお出入は御無用でござるぞ」
 と追立《おった》てられまして、蟠龍軒、お瀧の両人は目算がらりと外れ、這々《ほう/\》の体《てい》で其の儘逃帰りました。悪事千里とは好《よ》う申したもの、何時《いつ》しか此の事がお上《かみ》の耳に伝わりまして、お瀧は忽《たちま》ち召捕《めしとり》となり、続いて遠島を申付けられました次第でございますが、如何《いか》にも島人《しまびと》に珍らしき美人でありますから、平林が勝手に引出して、妾にいたして置きました処、前回に申上げた騒動が起って、夫平林は殺されてしまったのでございます。お話変って町奉行石川土佐守は、ある日御用があって御老中松平右京殿のお役宅へまいりました。さて御用済の上右京殿は土
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