tの悪漢《あっかん》も返す言葉なく、
蟠「えゝ/\これはその何《なん》でござる、実は先日|朋友《ほうゆう》がまいりまして、八丁堀辺の侍の娘で、御殿奉公を致して居《お》る者であるが、至って碁|好《ずき》な娘、折があったら御前へととと取持《とりもち》を頼まれまして」
と苦しまぎれの出鱈目《でたらめ》を云って居りまする。
二十
時に妻木數馬は、
數「いやさ、御殿女中とは真赤《まっか》な偽りでござろう、尤《もっと》も衣類|簪《かんざし》の類《るい》は好《よ》う似て居《お》るが、髪の風《ふう》が違いますぞ、これはお旗下か諸役人|衆《しゅ》の女中の結い方、御城中並びに御三家とも少しずつ区別があると申す事|故《ゆえ》、其の道の者に鑑定致させたる処、よく出来ては居《お》るものゝ御殿風ではないという、察するところ、囲碁の心得ある何者かの娘を御殿女中風に仕立て、御前を欺いて金銭を貪《むさぼ》る手段でござろう、さればこそ衣類と髪の不似合な装いをしたのでござらぬか、さりとは不届至極な為され方、さア此の上は両人とも当家を引立《ひった》て、大目附衆《おおめつけしゅう》へ差出さねば成らぬ、其の上当家
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