ア」
 小「友之助、其の方は去る十五日の夜《よ》、大伴蟠龍軒の屋敷へ踏込《ふんご》み、家内の者四人、蟠龍軒|舎弟《しゃてい》蟠作《ばんさく》を殺害《せつがい》いたしたな、何《なん》らの遺恨あって、何者を語らって左様な無慙《むざん》なる事を致したか、さア後《あと》で不都合のなきよう有体に申立てろ」
 立「まア怪《け》しからぬ仰せでございます、余計な事を申すようでございますが、友之助は御覧の通り疵だらけ、十四日夜はさん/″\打《ぶ》たれて動きが取れませず、私方《わたくしかた》へ泊り込んだのでございます」
 小「黙れ」
 林「さア友之助、とても免《のが》れるものじゃアない、只今旦那のお尋ねの通り有体に申上げろ」
 友之助は暫《しばら》く考えて居りましたが、
 友「へえ、大伴の屋敷へ切込みまして、家内四人の者を殺害《せつがい》いたしましたるは全く私《わたくし》に相違ございません、へえ遺恨あって切込みました」
 立「これ/\友さん、血迷っちゃアいかねえ、お前は十四日に……」
 林「黙れ、其の方の口を出すべき場合でない、さア友之助、貴様一人の仕業《しわざ》でないと云うことは分って居《お》る、何者を
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