」
主「えゝ親分、一体これは何ういう訳ですか」
林「汝《われ》の知った事じゃアねえや」
主「それでも斯様《こん》な大病人《たいびょうにん》を何うなさる積りで」
林「おい金藏、この親爺も腰縄《こしなわ》にしてくれえ、兎《と》も角《かく》も玄関まで引いて往《い》くから……」
この玄関と申しますのは、其の頃名主の邸《やしき》を通称玄関と申したのでございます。
主「親分、なんで其様《そん》な足腰の立たないものをお縛りなさるのです、私《わたくし》ア名主様へ引かれるような罪を犯した覚えはございません」
林「往《い》く処へ往けば分らア、黙っていろ、金藏、この近所に駕籠屋《かごや》があるだろう、一挺《いっちょう》雇って来い」
やがて友之助と立花屋の主人《あるじ》を召捕《めしと》って相生町《あいおいちょう》の名主方へ引立《ひきた》てゝまいりました。玄関には予《かね》て待受《まちう》けて居りました小林藤十郎、左右に手先を侍《はべ》らせ、友之助を駕籠から引出して敷台に打倒《うちたお》し、
小「京橋銀座三丁目紀伊國屋友之助、業平橋|立花屋源太郎《たちばなやげんたろう》、町役人」
一同「はゝ
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