《こゝ》にうむ/\呻《うな》りながら寝て居りました」
 林「黙れ、貴様に尋ねるのじゃアねえ、これ友之助、貴様は十四日は割下水の蟠龍軒の屋敷で、少しばかり打擲《ちょうちゃく》されたのを遺恨に思って、十五日の晩に其の仕返しを為《し》ようと云う了簡《りょうけん》で、蟠龍軒の屋敷へ切込《きりこ》んだろうな」
 友之助は恟《びっく》り首を擡《もた》げて、
 友「なゝなゝ何を云いなさる」
 林「いやさ友之助、どうせ天の網を免《のが》れる訳にゃアいかねえ、あの手際《てぎわ》は貴様一人の仕業じゃアあるめえの、相手は何者だ、男らしく有体に申上げた其の上でお慈悲を願うが宜《よ》いぞ、己《おれ》たちも悪くは計らわねえ、ぐず/\すると却《かえ》って貴様の為にならねえぞ」
 友之助は怪訝《けゞん》な面持《おももち》にて、
 友「へえ、あの蟠龍軒めが何《ど》うぞしましたか」
 林「友、しらばっくれるな、あの時アたしか三人だったなア」
 友「あなたの仰しゃることは何が何《なん》だか一向分りませんが」
 林「ふむゝ、貴様は往生際《おうじょうぎわ》の悪い奴だな、よし此の上は手前《てめえ》の身体に聞くより外《ほか》はねえ
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